智源寺僧堂で「現成公案」講義(3)

諸法の佛法なる時節、すなはち迷悟あり、修行あり、生あり、死あり、諸佛あり、衆生あり。

萬法ともにわれにあらざる時節、まどひなくさとりなく、諸佛なく衆生なく、生なく滅なし。

佛道もとより豐儉より跳出せるゆゑに、生滅あり、迷悟あり、生佛あり。

しかもかくのごとくなりといへども、花は愛惜にちり、草は棄嫌におふるのみなり。

自己をはこびて萬法を修證するを迷とす、萬法すすみて自己を修證するはさとりなり。

 

洞山了价「過水の偈」

切忌随他覓(切に忌む他に随いて覓(もとむ)ることを)

迢迢与我疎(はるかに我と疎なり)

我今独自往(我今独り往き)

処処得逢渠(処処に渠と逢うを得)

渠今正是我(渠は今正に是れ我)

我今不是渠(我は今渠に不是ず)

応須与摩会(応に須らく与摩(かくのごと)く会して)

方得契如如(方(はじ)めて如如に契うを得ん)

 

(「汝これ渠にあらず、渠正にこれ汝」宝鏡三昧

如来は我なり、されど我は如来に非ず。如来、我となりて我を救いたもう」曽我量深)

 

『渠今正是我(渠は今正に是れ我)→諸法の仏法なる時節

我今不是渠(我は今渠に不是ず)→万法ともに我にあらざる時節』 

 

正        ⇔   偏

渠        ⇔   我(汝)

平等       ⇔   差別

絶対       ⇔   相対

無限       ⇔   有限

現成       ⇔   公案

仏法       ⇔   諸法(万法)

一心一切法        一切法一心

色即是空         空即是色

空即空          色是色

無一物     中    無尽蔵

至道無難         唯嫌揀択

天上天下唯我独尊 ⇔  自未得度先度他